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今日の課題図書:面白くて眠れなくなる解剖学

PHPのシリーズに、「面白くて眠れなくなるシリーズ」というものがあります。

生物学・数学・物理・天文学…と色々な分野について出ているこのシリーズですが、どれも専門外の人にもわかりやすく、さらっと読めるようになっています。なので、もともと興味がある方はもちろん、なんとなく興味があるかも〜くらいの方にもおすすめです。

さて、そんなシリーズの中で、今回は「面白くて眠れなくなる解剖学」を読んでみました。

 

 

「面白くて眠れなくなる解剖学」は、まず医学部の学生さんが解剖をするにあたっての心構えや、解剖前後にご遺体がどのように扱われているのかなどの説明から始まります。

おそらく医学部・歯学部の学生さん以外は解剖をしたことがないと思いますし、少なくとも私は解剖の現場を見たことすらありません。解剖されるご遺体は献体によるものだということくらいは聞いたことがある、ような?というくらいです。

なので、よく考えたら当たり前かもしれませんが、解剖が終わったらしっかりと供養されているということも初めて知って、解剖に携わる方はとても真摯な気持ちでご遺体を扱っているのだと感じました。

 

内容は次に解剖学の歴史に移るわけですが、ここはそこそこ内容量は多いわりにさらっと読めます。

昔は解剖用のご遺体をどのように入手していたのか、だとか。献体されるようになったのはいつ頃からなのか、とか。日本史や世界史を学ぶだけでは知り得ない情報なので、とても興味深かったです。

 

そして、後半は体を開くことで見えてくるものが解剖の手順に従って順番に紹介されていきます。

ここの説明がとてもリアルに描かれているので、まるで自分が解剖学実習を受けているかのようです。もちろん現実には目の前にご遺体はないので、想像するばかりですけれども。

 

読了後の感想としては、普段は決して見ることができない人体解剖の様子を垣間見させていただけたようで、とても満足です。

おそらく、もっと人体解剖の歴史を詳しく知りたいだとか、各部位についてもっと詳しく解説してほしいという人にはやや物足りないかもしれませんが、人体の内部という未知の領域に興味を持った人が最初に読む本としては最適だとおもいます。

 

 

*****

おまけ。

人体解剖の歴史を語る上で外せないのが「近代外科学の父」ジョン・ハンターです。

彼について語られている書籍はいくつもありますが、その中で私が読んだことがある2冊をご紹介します。

 

■世にも奇妙な人体実験の歴史

 (トレヴァー・ノートン著/赤根洋子 訳)

 第1章の最初がジョン・ハンターについてです。

 この本は他にも色々な人体実験の歴史について記載されているのですが、どれも他人での人体実験ではなくて、自分で実験しているところがすごい。

 彼らのおかげで今の医療や科学技術があるのだということはよくわかる。わかるけど、科学者ってどこかクレイジーだよね…と思わせてくれる1冊です。おすすめ。

 

■闇に魅入られた科学者たち 人体実験は何を生んだのか

 (NHKフランケンシュタインの誘惑」制作班)

 こちらも第1章でジョン・ハンターが紹介されています。

 この本は2016年にNHKで放送された内容+αで構成されているそうです。残念ながら私はこの番組を見ていないのでどれくらい追加されているのかはわかりませんが、紹介されている内容はどれも非常に興味深いものばかりです。

 そしてとてもわかりやすくて読みやすい。おすすめです。